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医療事故調の早期設立求めシンポ 医療過誤原告の会など

 医療過誤原告の会が主催するシンポジウム「医療事故調査機関の早期設立を」が12月5日、東京都内で開かれ、医療事故被害者や医師、弁護士らが医療事故の調査などを行う第三者機関の設立について意見を交わした。

 シンポジウムではまず、医療事故被害者遺族の川田綾子氏、東京女子医大心臓血管外科の西田博氏、厚生労働省医政局総務課医療安全推進室長の渡辺真俊氏、茨城県医師会副会長の小松満氏、弁護士の高梨滋雄氏がそれぞれ講演した。

 西田氏は、厚労省が2008年6月に公表した「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」をめぐる議論を振り返り、「制度設計する厚労省が、第三者機関と責任追及・補償を完全に切り離すだけの直球を投げなかった。投げないうちに政権交代が起きて、ぐちゃぐちゃになったということだと思う」と指摘した。その上で、故意や改ざん、隠ぺいがなく、医学的評価の問題だと判明した時点で、警察が手を引いて専門家の評価に委ねる土壌ができなければ、「永遠に第三者機関はできない」と強調した。

 弁護士の高梨氏は、医療事故の原因を調査する制度がない現状の問題点として、警察・検察の捜査が医療事故への対応の中心になっていることを指摘。捜査に優先して事故原因の分析調査をする法制度が必要であり、制度設計についてはこれまでに議論がなされてきたとして、「国民が必要性を認識することだけが残された課題ではないかと思う」と述べた。

 その後のディスカッションではまず、シンポジウムを傍聴していた産科医療補償制度原因分析委員会委員長の岡井崇氏が発言した。岡井氏は、大綱案をめぐっては各学会の意見が調整され、修正を加えた形で一定のコンセンサスを得ていたとして、「政権が交代しただけで全く白紙にして新しくやろうというのはものすごく不満だ」と批判。民主党の制度案については、「出発点が患者と医師のトラブルの解決にあり、原因究明や再発防止が二番目になる。話し合いが付けば、原因究明も何もされないまま済まされてしまう」と問題視した。

 質疑では、会場から「すべての病院が事故や不慮の死をすべて公開すれば、事故がないというのは神話だと患者に認識される。公開をすべての医療機関に義務付けるべきだ」との声が上がった。

 これに対し渡辺氏は、「重要な検討課題だと思っている。患者や医療機関の意見を聞いていかないといけない」と応じた。一方、西田氏は「事故の届け出といっても、それが事故かどうかは非常に難しい問題だ。事故と言った途端に責任追及が始まる。医療安全と再発防止のために、予期せぬ死亡・合併症をすべて情報共有するという形ならいいと思う」と述べた。

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